三橋松太郎さんのこと
写真家の三橋松太郎さんから新しい写真集を出版するという知らせが届いたので、電話で久々にご挨拶した。三橋さんは、戦後間もない頃の人や町の写真をまとめた写真集をここ数年で立て続けに出版していて、今作は「ハイカラさんがいた街 よこはま」というタイトルのとおり、戦後すぐの米軍がいたころの横浜がテーマになっているんだそうだ。これはぜひとも見てみたい。◇三橋さんといえば、映画「朱霊たち」を思い出す。「朱霊たち」は昨年、ぼくたちが映画館を引き継いで間もない頃に上映した作品で、監督は現役舞踏家・岩名雅記さん、出演者も全員舞踏家という異色作。ある人はこれは「映画という形式を使った舞踏だ」と評したように普通の映画とは違った不思議なパワーに溢れていて、強烈な印象を残した作品だった。上映の際、連日ゲストを呼んでトークショーを行うということになり、ゲストとして監督の岩名さんがぜひ呼びたいと名前を挙げたのが三橋さんだった。岩名さんは三橋さんの戦後の横浜を切り取ったいくつかの写真(伊勢佐木町の路上の両足の無い傷痍軍人や、日ノ出町のバラック小屋の様子など)からインスパイアされて、映画「朱霊たち」の世界を構想したのだそうだ。残念ながらこのトークは実現しなかったけど、映画は「戦後の日ノ出町・黄金町界隈を原風景にした映画!」という謳い文句を付けて、当時のことを知っている老人たちが結構来たものだった。◇電話口の三橋さんはとても元気そうだった。「足の具合がよくなったらまた日ノ出町あたりを歩きたいんだけどね」。変化しつつあるこの街を見たとき、三橋さんは何を思うだろうか。
★三橋松太郎さん
煌きの瞬間(とき)―戦後の昭和(1949-1957)にみる日本の原風景
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ハイカラさんがいた街 よこはま 戦後の昭和(1949-1956)にみる日本の原風景
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