祝! 『黄金町マリア』復刊!

2006年に刊行されるや多くの読者に熱烈な支持を受けながらも、その後長らく絶版になってしまっていた幻の名作が復活! その名作とは、写真家・八木澤高明さんが、横浜黄金町の最後の数年間を記録したフォト・ドキュメント『黄金町マリア ―横浜黄金町 路上の娼婦たち』。今回の復刊は、摘発により売春街としての歴史に幕を閉じてから現在までの、「その後の10年」の記録を新たに追加した増補新版です。◇僕たちがジャック&ベティの運営を始めたちょうどその頃に、この本の存在を知り、八木澤さんにお会いして黄金町の歴史についていろいろ話を伺ったのでした。そして、映画館最初の企画として写真展「レクイエム黄金町」を開催したことは忘れられない思い出です。◇あれから約10年。映画館や川の筋のお店など、今も黄金町を盛り上げてくれている人、去っていった人。それぞれの物語は続いている。僕は相変わらずに僕の黄金町マリアを探し続けている。

黄金町マリア――横浜黄金町 路上の娼婦たち

黄金町マリア――横浜黄金町 路上の娼婦たち

岩名雅記監督最新作『うらぎりひめ』公開開始!

朱霊たち』『夏の家族』に続く、岩名雅記監督の最新作が公開されていることを知り、いてもたってもいられなくなり放置していたブログを書いてみました。以前にも書きましたが、岩名監督との出会いは2007年頃、副支配人時代に遡ります。映画館を辞めてからも『夏の家族』公開時にはインタビューをさせていただくなど、個人的に大変思い入れのある方。ベストセラー小説を人気俳優起用して映画化すりゃ、そこそこの感動とある程度動員見込めるしいいじゃん的なノリの映画とはまったく違う思想を持って、真摯に映画と、表現と向き合い続けていらっしゃる。こういうものこそ、お金を払って観に行かなければならない。

『うらぎりひめ』サイト

岩名雅記さんインタビュー
前編

後編

J&Bが20周年だそうで

J&Bにはもうだいぶ行っていませんが、この12月は20周年ということで盛り上がっているようですね。記念イベントとして、初代支配人の福寿さんと梶原支配人との対談や、僕も16mmの映写を教わった映写技師・江崎さんのお話会などが組まれていますが、いずれも素晴らしいイベント。特に福寿さんは、支配人をお辞めになられて以降は映画館に来ることはなかっただけに、このイベントの実現は特別な意味を持っている。江崎さんには、2009年の「美空ひばり映画祭」のときに個人的に大変お世話になった。告知が足りなかったこともあり、ほとんど客が入っていない館内を二人で見下ろしながら、映画館も大変な時代になったねと笑いあったのはいい思い出です。◇映画黄金時代から現代まで、映画産業の興亡の中を生き抜いてきたお二人の話は、監督や俳優とはまったく異なる視点から映画の魅力を伝えてくれるでしょう。見に行きたい気もするが、僕にはやらなければならないことがある。誰かyoutubeにアップしてください。

藤田修平写真展「路上の跡形」

2008年に黄金町映画祭で出会い、それからも台湾シネマウィークなどの企画でお世話になった映画監督の藤田修平さんの写真展に行ってきた。台湾の路上の犬や猫の姿を写した、優しい眼差しが印象的なモノクロ写真が並ぶ。日本の昭和っぽい風景や横浜の福富町あたりを思わせるいかにも「アジア」な雰囲気の作品に惹かれた。写真展は今日までなので、台湾と路上と犬や猫に興味のある方はお見逃しなく。

「路上の跡形」

気がつけばあれから1年

「あれ」というのは、シネマを辞めた日のこと。早いものだ。シネマ最後の日は、たしか美空ひばり主演の『千姫と秀頼』の上映会で、ゲストの効果もあって珍しく超満員になったイベントだった。別にノスタルジーにひたるわけではないが、その時期にブログを書いてなかったので今更書いておこうと思った次第です。◇最近は本業が忙しくなり、黄金町に顔を出すこともままなりません。インタビューのほうはできる範囲で細々と継続していきます。◇山谷哲夫さんの新刊が発売されます。歌舞伎町のラブホテルに潜入取材したノンフィクション。代表作『じゃぱゆきさん』の作者の面目躍如とも言うべき力作です。さっそくamazonで購入しました。

歌舞伎町ラブホテル夜間清掃人は見た!

歌舞伎町ラブホテル夜間清掃人は見た!

じゃぱゆきさん (岩波現代文庫―社会)

じゃぱゆきさん (岩波現代文庫―社会)

たまには嬉しいこともある

先日、『100年後の映画館のために』の中の山谷哲夫さんの記事を見てくれた方から、山谷さんの41年前の作品『沖縄のハルモニ』を上映したいということで連絡をいただいた。山谷さんに連絡を取ったところ、元々8mmフィルムで作られた作品で、残念ながらフィルムは現存しないけれど、幸いVHSなら1本だけあるということで、その貴重な素材をお借りし、めでたく上映できることになった。山谷さんが喜んでくれたのが何より嬉しい。◇『100年後〜』を初めて半年以上経つけれど、たいしたリアクションも無い中でこういうことがあると励まされる。自分がしたことが、世の中に少しでも役に立ったということが嬉しいし、自信とやる気につながった。

★伊藤塾「沖縄スタディツアー」事前学習プログラム内で『沖縄のハルモニ』上映

★山谷哲夫さんインタビュー

夏は終ったけれど

岩名雅記さんの新作『夏の家族』が渋谷アップリンクで上映中です。いまもっとも刺激的で尖がった映画が観たい!という人にお薦めです。◇その岩名さんのインタビューを2回に渡って掲載しました。個人的にはいままでの記事の中でもっとも内容的に充実していると自負しています。ぜひご覧ください。◇たまに物凄く暇な時にJ&Bのツイッターを見ると、結構盛り上がっているように見えるが、支配人や副支配人の発言はまったく見えず、相変わらず支配されっぱなしのようだ。

岩名雅記さんインタビュー 前編後編